はじめに
クラシック音楽は、美しさと感動をもたらすだけでなく、科学的な研究からみても心の健康に多くの良い影響をもたらすことが明らかにされています。
ここでは、元音大生の筆者が具体的な研究結果に基づき、クラシック音楽と心の健康の関係をさらに詳しく探っていきます。
1. 脳波の変化とリラックス効果
クラシック音楽を聴くことは脳波に変化をもたらし、アルファ波やシータ波が出てくるという研究結果が発表されています。これらの脳波はリラックス状態で見られるものであり、クラシックを聴くと心静かで平穏な状態になれるということになります。
モーツァルトの比較的ゆったりとした曲など、穏やかな楽曲が特にこの効果を引き起こすことが確認されています。
2. ストレスホルモンの低減と自律神経の安定
クラシック音楽を聴くことがストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、自律神経を安定化させる効果があるという結果が出ています。
特に、モーツァルトの「交響曲第41番」やバッハの「ブランデンブルク協奏曲第3番」などは、ストレス軽減に働きかけることが報告されています。クラシックが自律神経を整え、安心感をもたらすことがわかっています。
3. 心拍数と血圧の調整と心身のリラックス効果
クラシック音楽の穏やかなリズムや一定のテンポは、心拍数や血圧を安定させ、心身のリラックス効果をもたらします。
研究によると、バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」やモーツァルトの「セレナード第10番」は、心拍と血圧の安定をサポートすることが確認されています。
4. 精神的な安定と睡眠の質向上
クラシック音楽が精神的な安定感をもたらすことが睡眠にも影響を与えます。
研究では、ベートーヴェンの「月光ソナタ」やモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が入眠を助け、深い睡眠の手助けをすることが報告されています。特に緩やかなメロディと静かなピアニッシモが、睡眠の質向上に良いとされています。
5. 認知機能の向上
クラシック音楽が認知機能に良い影響を与えることも研究によって明らかにされています。
研究によれば、モーツァルトの音楽が認知機能を高め、知的な活動や学習に対してポジティブな影響をもたらすことが示唆されています。特に、複雑な楽曲構造や変化に富んだ旋律が、脳の活性化を促進し、勉強中のBGMに適しているとされています。
結論:
以上、クラシックが心身に及ぼす良い影響について、紹介しました。クラシック音楽はとっつきにくい印象を持つかもしれませんが、勉強や作業をするときの落ち着くBGMをお探しの方もいるのではないでしょうか。ぜひ色々なクラシック音楽を聴いてみて、お気に入りの曲を見つけてみてください。
参考文献:
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