消費税19%でもドイツ人の幸福度が高い理由。お金を使わない「ドイツ流幸せ術」

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はじめに

質素、合理的、あるいは少し無愛想……そんなイメージを持たれがちなドイツですが、実は彼らの暮らしぶりには、私たちが「幸せ」を感じるための大きなヒントが隠されています。

日本で暮らしていると、休日の楽しみといえば「どこかへ買い物に行く」「新しいカフェを開拓する」「期間限定のイベントに足を運ぶ」といった、いわゆる「消費」を伴う活動が中心になりがちです。しかし、ドイツの人々の日常はそれとは対照的です。

今回は、ドイツと日本の文化の違いを数字と習慣から紐解きます。

数字で見るドイツと日本のリアルな差

まずは、私たちが抱きがちな「海外は豊かだから幸せなんだろう」という先入観を、客観的なデータで整理してみましょう。

高い消費税

ドイツの消費税(付加価値税)は、標準税率で19%です。日本の10%と比べると、ほぼ倍に近い負担です。食料品や書籍などは軽減税率の7%が適用されますが、外食や贅沢品、サービスにかかるコストは非常に高く感じられます。

また、平均年収(OECD 2022年データ)を見ると、ドイツは約5.9万ドル、日本は約4.1万ドルと、一見ドイツの方が稼いでいるように見えます。しかし、ドイツは社会保険料や所得税の控除額が非常に大きく、手取り額で見ると日本と劇的な差があるわけではありません。 物価高の影響もあり、彼らの生活は決して「お金が余っているから贅沢ができる」という状態ではないのです。

なぜ幸福度が高いのか?

それにもかかわらず、2024年の世界幸福度報告では、ドイツは日本(51位)を大きく引き離す上位にランクインしています。お金に余裕があるわけでも、税金が安いわけでもないのに、なぜ彼らは「ご機嫌」でいられるのでしょうか。その答えは、彼らの「支出の少なさ」と「時間の使い方」にありました。

お金を使わない「遊び」の天才

ドイツ人の休日の過ごし方は、驚くほど質素で健康的です。彼らは「何もしないこと」や「自然の中にいること」を何よりの贅沢だと考えています。

公園と散歩は「国民的レジャー」

天気が良ければ、ドイツ人は家族や友人と公園へ出かけます。そこで何をするかといえば、ただ「歩く(Spaziergang)」だけです。 特別な道具を揃えるわけでもなく、おしゃれなウェアを買うわけでもありません。近所の森や公園を1〜2時間歩き、季節の移ろいを感じ、お喋りを楽しむ。日本なら「どこか行こうよ」となるところを、彼らは「散歩に行こう」で済ませてしまいます。

カフェよりピクニック、外食よりDIY

ドイツでは外食の値段が高く、チップの文化もあるため、気軽なカフェ利用も日本ほど頻繁ではありません。その代わりに、家から水筒とサンドイッチを持って公園のベンチで過ごす「ピクニック」が一般的です。

また、家の中の修繕や庭の手入れを自分たちで行う「DIY」も、彼らにとっては立派なレクリエーションです。壊れたら買い替えるのではなく、自分の手で直して長く使う。この「自分の生活を自分でコントロールしている」という感覚が、高い自己肯定感と幸福度につながっています。

家事のハードルを極限まで下げる「冷たい食事」

日本人、特に真面目な方ほど驚くのが、ドイツの食習慣です。

夜は火を使わない「アーベントブロート」

ドイツには「Abendbrot(アーベントブロート/夕方のパン)」という習慣があります。夕食は、切っただけのライ麦パン、数種類のチーズ、ハム、ピクルス、そしてフルーツなどをテーブルに並べるだけ。火を使って調理をすることはほとんどありません。

  • 日本: 一汁三菜、温かいおかず、炊きたてのご飯(時間・光熱費・労力が大)

  • ドイツ: パンに載せるだけ(時間・光熱費・労力がほぼゼロ)

「夕食くらい温かいものを食べたい」と思うかもしれませんが、これによって夜の自由時間が圧倒的に増えます。キッチンに立つ時間を減らし、その分を趣味や家族との対話に充てる。この合理的な割り切りが、彼らの心のゆとりを生んでいるのです。

芸術が「日常」にある:ドイツの音楽・文化

ドイツでは、クラシック音楽やバレエといった芸術は、一部のお金持ちだけのものではなく、市民の「心の栄養」として存在しています。

チケットが驚くほど安い

ドイツは国や自治体からの芸術文化への助成が非常に手厚いため、チケット代が日本に比べて格段に安く抑えられています。

  • 当日券の魅力: 一流のオペラハウスやオーケストラの公演でも、当日余っている席や立ち見席(Stehplatz)であれば、数ユーロ(数百円〜千円程度)で手に入ることがあります。運が良ければ、世界最高峰の演奏をワンコイン感覚で楽しめるのです。

  • 学生や若者への優遇: 学生は無料、あるいは非常に安価なパスで劇場に通える制度が整っています。「若いうちに本物に触れること」が社会全体で守られているのです。

教会や美術館という「無料の聖域」

日曜日に教会へ行けば、誰でも気軽に本格的なパイプオルガンの生演奏や聖歌隊の歌声を聴くことができます。また、多くの都市では「美術館が無料になる日」や、特定の曜日の夜間割引などが設定されており、お金をかけなくても質の高い美意識を養う環境が整っています。

【体験談】ドイツ人マインドを取り入れてみた

私自身、このドイツ人の考え方を知ってから、少しずつ生活に取り入れてみました。すると、変化がありました。

「何もしない」を肯定する勇気

以前の私は、休日に「家でゆっくり過ごした」「散歩だけした」と言うことに、どこか後ろめたさを感じていました。SNSでキラキラした休日を過ごしている人を見ると、「自分は時間を無駄にしているのではないか」と焦っていたのです。

しかし、「これはドイツ流の、洗練された休日の過ごし方なんだ」とマインドを切り替えた瞬間、その静かな時間がとても愛おしく、贅沢なものに変わりました。

「買い替える」前に「整える」喜び

最近、リビングのテーブルを新調しようか悩んでいました。でも、ドイツ流のDIY精神を思い出し、まずは今の部屋の収納を見直し、家具の配置をガラリと変えてみたのです。

すると、視線が抜けるようになり、今のテーブルが驚くほど部屋に馴染んで、使い勝手も良くなりました。結果として、数万円の支出が浮いただけでなく、「自分の工夫で生活を良くした」という満足感でいっぱいになりました。

「節約しよう」と我慢しているわけではないのに、意識を変えただけで、自動的に支出が減り、逆に幸福度は上がっていく。 この不思議な感覚は、今の日本で穏やかに生きていくための最強の武器になると確信しています。

私たちが今すぐ真似できること

ドイツの文化を丸ごとコピーするのは難しいかもしれませんが、その「エッセンス」を日常に取り入れることは今日からでも可能です。

「アーベントブロート」を週に一度取り入れる

週に一回、夕食をパンとチーズだけの簡単なものにしてみましょう。浮いた30分で本を読んだり、ゆっくりお風呂に入ったりしてみてください。

「目的のない散歩」をご褒美にする

カフェに行く代わりに、お気に入りの公園を1時間歩いてみる。季節の空気を感じるだけで、脳はリフレッシュされます。

「新しいもの」より「今」を疑う

何かが欲しくなったら、まずは部屋の掃除と模様替えを。驚くほど「買わなくていい理由」が見つかるはずです。

幸せとは、お金を払って買うものではなく、今ある環境の中から見つけ出すもの。 ドイツ人のような「ご機嫌なマインド」を少しだけ借りて、もっと気楽に、もっと豊かに過ごしてみませんか。

まとめ:お金を使わない「豊かさ」が教えてくれること

ドイツ流の幸せ術は、決して「我慢して節約する」ことではありません。高い消費税や決して楽ではない家計の中でも、彼らがご機嫌でいられるのは、幸せの基準を「消費」ではなく「心のゆとり」に置いているからです。

手間をかけない夕食で自由な時間を生み出し、公園の散歩で季節を愛で、安価に一流の芸術に触れる。こうした「お金をかけない贅沢」を知っていると、社会の流行や周囲の目に振り回されることがなくなります。

私自身、このマインドを取り入れてから、無理に予定を埋めなくても、新しいものを買わなくても、今の暮らしを工夫するだけで十分に満たされることに気づきました。支出が自然に減っていく心地よさは、将来への安心感にもつながっています。

皆さんも、まずは次の休日に「何もしない贅沢」を自分に許してみませんか。ドイツ人のような軽やかなマインドが、あなたの日常をより豊かで、ご機嫌なものに変えてくれるはずです。

参考文献

  • UN Sustainable Development Solutions Network “World Happiness Report 2024”
  • OECD Statistics “Average wages 2022”
  • ドイツ連邦統計局(Statistisches Bundesamt)消費・生活水準調査
  • ドイツ観光局(GNTB)文化・芸術振興データ
この記事を書いた人
@RAIN

音高・音大卒業後、新卒で芸能マネージャーになり、25歳からはフリーランスで芸能・音楽の裏方をしています。音楽業界で経験したことなどをこっそり書いています。そのほか興味があることを調べてまとめたりしています。
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