はじめに
音大を目指す高校生、中学生、小学生はこの問題に直面する方も多いと思います。ピアノの先生にはグランドピアノを買った方が良いと言われるけど本当に必要なのか、と聞かれることも多いのですが
グランドピアノがないと音大に行けないということは全くございません。
この記事ではグランドピアノとアップライトピアノを比較し、音大ピアノ科を卒業した筆者が経験も含めて、音大志望の学生やそのパパ・ママたちにもわかりやすくお伝えします。(私はグランドピアノを持っていて、東京の音楽大学を卒業しました。)
1. 金額
まず第一に考えられることが金銭面だと思います。アップライト、グランドピアノ共に金額は様々ですが大きな差があります。ただグランドピアノは一度購入すると長く使えるというメリットもあります。
音大進学の際に4年間だけグランドピアノをレンタルするという方法もありますが、楽器店でのレンタルは数が少ないため確実ではなかったり、割高の場合も多いです。実際にレンタルをしようとしたが、4年間で計算すると購入するのとあまり変わらなかったという話もよく聞きます。
将来ピアノを指導することも視野に入れているのであれば、アップライトよりグランドピアノで指導出来た方が、生徒さんの満足度も高く人が集まりやすくなります。
2. 音量・置き場所
アップライトピアノに比べて、グランドピアノは音が大きいです。1日数時間練習するとなると、同居の方のストレスに繋がることもあると思います。
もちろん大きさも異なるため、スペースの確保が必要です。また音大進学と同時に一人暮らしをするのであれば、アップライトピアノであれば6畳1Kでも過ごせますが、グランドピアノの場合8畳は必要だと思います。その分家賃も上がることになります。
3. 構造
まず大きな違いのひとつが楽器構造です。アップライトピアノは鍵盤が垂直にあり、反響板もグランドピアノに比べて小さいです。そのため打鍵の感覚と、弾いている時に自分の耳に返ってくる音がグランドピアノと異なります。
私の経験ではアップライトピアノからグランドピアノに替えた時は、あまり大きな違いは感じなかったのですが、グランドピアノで慣れてからアップライトを弾くとその違いをすごく感じました。
4. 弾き慣れ
上記で述べたように、構造の違いがあるとはいえ初心者には違いがわかりにくいため、本当にグランドピアノは必要なのか・・お金をかける価値はあるのか・・と思う方も多いと思います。
もう少しわかりやすい活用方法で言うと、本番の楽器に近い状態で練習が出来るということがあげられます。
アップライトピアノで練習していると譜面台が正面にありますが、本番のグランドピアノは演奏中の景色が大きく異なります。目の前で鍵盤が動いているのが見えて集中できない、や左のペダルの効き方が全然違う(詳しくはここでは割愛します)などの事態が起こります。
そのようなことに普段から慣れておけるというのは、グランドピアノのメリットです。
5. 音大で経験したこと
結局グランドピアノがないと音大に行けないのかというと、そのようなことではございません。私は音楽大学のピアノ演奏の学科に在籍していましたが、グランドピアノを持っていない学生も、私の肌感では1割程度いました。特に問題なく音大生活を過ごしていたと思います。
また先生からのプレッシャーを感じる人もいると思います。音大でピアノを勉強するならグランドピアノを持っていて当たり前・・のようなことを、実際私もピアノの先生や学生に言われたこともありますし、そのようなことを全く言わない先生もいます。私が行っていた音大にも、どちらの先生もいらっしゃいました。
まとめ
アップライトとグランドピアノについて比較してきましたが、グランドピアノがなければ音大に行けないわけではありません。実際、本場のヨーロッパなどで考えると、学生がグランドピアノを部屋に置いて一人暮らしをするのはハードルが高いため、優秀なピアニストも自宅はアップライトピアノであることもあります。
これから音大を目指すかもしれない方にとって、楽器選びは悩みのひとつかと思いますが、ぜひ参考にしてみてください。