【アルゼンチンのダンス】タンゴ、フォルクローレ、クンビアを深掘り。

曲・ジャンル解説
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はじめに

南米大陸の南部に位置するアルゼンチン

その地で育まれたダンス文化は、情熱的で官能的な魅力に溢れ、世界中の人々を魅了し続けています。

この記事では、アルゼンチンを代表するダンスであるタンゴを中心に、フォルクローレやクンビアといった多様なダンス文化を紹介します。

アルゼンチンのダンスの歴史、種類、特徴、そしてその魅力を余すことなくお伝えします。

タンゴ

アルゼンチンと言えば、まず思い浮かぶのがタンゴでしょう。

タンゴは、19世紀後半にブエノスアイレスの労働者階級の間で生まれたダンスです。

移民たちが抱える哀愁や情熱が、音楽とダンスに昇華されたと言われています。

タンゴの歴史

タンゴの歴史は、19世紀後半アルゼンチンとウルグアイの首都、ブエノスアイレスとモンテビデオ港湾地域で始まりました。

この地域は、ヨーロッパからの移民、アフリカからの奴隷、地元のガウチョなど、多様な文化が交錯する場所でした。

タンゴは、ミロンガ、ハバネラ、カン・ドムベなど、様々な音楽スタイルが融合して生まれたと言われています。

当初は、労働者階級の酒場や売春宿で、貧しい人々が憂さ晴らしのために踊るものでした。

初期のタンゴは、男性同士で踊られることもありました。

20世紀初頭、タンゴはヨーロッパ、特にパリで大流行しました。

洗練されたスタイルへと変化し、上流階級にも受け入れられるようになりました。

ヨーロッパでの成功が、アルゼンチン本国でのタンゴの地位を高めることにつながりました。

1930年代から1950年代にかけて、タンゴは黄金時代を迎えました。

カルロス・ガルデルなどの歌手が登場し、タンゴの歌は広く親しまれました。

オーケストラが発達し、タンゴの音楽はより複雑で洗練されたものになりました。

1960年代以降、ロックンロールなどの新しい音楽の台頭により、タンゴは一時的に衰退しました。

しかし、アストル・ピアソラなどの革新的な音楽家が登場し、タンゴの新しい可能性を切り開きました。

1980年代以降、タンゴは再び世界的な注目を集め、現在も多くの人々に愛されています。

2009年にはユネスコの世界遺産(無形文化遺産)に登録されました。

タンゴは、アルゼンチンとウルグアイの文化を象徴する芸術であり、移民たちの哀愁や情熱、都市生活の孤独感などを表現しています。

男女の情熱的な駆け引きや、深い感情の交流を表現するダンスとして、世界中の人々を魅了しています。

タンゴの種類

タンゴには、大きく分けて以下の3つのスタイルがあります。

  • サロン・タンゴ
    社交ダンスとして親しまれているスタイル。

    比較的シンプルなステップで、誰でも気軽に楽しめます。

    ミロンガと呼ばれるダンスパーティーで踊られることが多く、人々はパートナーと即興で踊りながら、音楽と一体となる喜びを分かち合います。

  • ステージ・タンゴ
    観客を魅了するために、アクロバティックな要素を取り入れたスタイル。

    プロのダンサーによるパフォーマンスで見ることができます。

    華麗なステップや情熱的な表現は、観客を魅了し、タンゴの芸術性を高めています。

  • ミロンガ
    タンゴの原型となったダンス。

    テンポが速く、より情熱的な踊りが特徴です。

    ミロンガは、タンゴのルーツを感じさせるダンスであり、その情熱的なリズムは、踊り手の心を高揚させます。

タンゴの魅力

タンゴの魅力は、何と言ってもその情熱的で官能的な表現力です。

男女が抱き合い、情熱的な音楽に合わせて踊る姿は、観る人の心を揺さぶります。

また、即興性が重視されるため、ダンサー同士の駆け引きや感情のぶつかり合いが見られるのも魅力の一つです。

タンゴは、単なるダンスではなく、感情の表現手段です。

踊り手は、音楽に合わせて即興でステップを踏み、パートナーとのコミュニケーションを通して、喜びや悲しみ、情熱や哀愁といった様々な感情を表現します。

フォルクローレ

フォルクローレは、アルゼンチンの各地に伝わる伝統的な民族舞踊の総称です。

地域によって様々なスタイルがあり、ガウチョ(カウボーイ)の生活を表現した「ガト」や、女性がハンカチを振りながら踊る「サンバ」などが代表的です。

フォルクローレの歴史

フォルクローレの歴史は、アンデス地域を中心に発展した民族音楽であり、先住民文化とスペイン文化の融合という複雑な背景を持っています。

その起源は、インカ帝国以前からアンデス地域に住んでいた先住民たちの音楽に遡ります。

ケーナやサンポーニャといった管楽器は、彼らが古くから使用していたもので、フォルクローレの根幹を形成しています。

16世紀以降、スペインによる植民地支配が始まると、スペインの音楽文化がアンデス地域に流入し、ギターやチャランゴといった弦楽器が伝えられました。

こうして、先住民の音楽とスペインの音楽が融合し、現在のフォルクローレの原型が形成されたのです。

19世紀以降、アンデス地域の国々が独立すると、民族意識が高まり、フォルクローレは国民的な音楽として発展しました。

20世紀に入ると、ラジオやレコードの普及により、フォルクローレは広く一般の人々に親しまれるようになりました。

1950年代頃からは、商業的な音楽として発展し、世界的に知られるようになりました。

現代のフォルクローレは、伝統的な音楽スタイルを守りながらも、新しい音楽要素を取り入れた多様なスタイルが存在します。

フォルクローレは、アンデス地域の文化を象徴する音楽として、今もなお多くの人々に愛されています。

フォルクローレは、アンデス地域の歴史や文化、人々の生活を反映した音楽であり、先住民の文化とスペインの文化が融合した独特の音楽であり、アンデス地域のアイデンティティを象徴しています。

また、フォルクローレは、音楽だけでなく、ダンスや衣装、祭りといった文化全体と深く結びついており、アンデス地域の豊かな文化を伝える貴重な音楽遺産と言えるでしょう。

フォルクローレの種類

アルゼンチン各地には、以下のような様々なフォルクローレがあります。

  • ガト
    ガウチョの生活を表現したダンス。

    力強いステップと、男性同士が競い合うような踊りが特徴です。

    ガウチョは、アルゼンチンの草原で生活するカウボーイであり、ガトは彼らの勇敢さや力強さを表現しています。

  • サンバ
    女性がハンカチを振りながら踊る優雅なダンス

    スペインのアンダルシア地方の舞踊が起源と言われています。

    サンバは、女性の優雅さや美しさを表現するダンスであり、華やかな衣装と優雅なステップが特徴です。

  • チャカレーラ
    軽快なリズムに合わせて、男女がペアで踊るダンス。

    アルゼンチン北部の農村部で親しまれています。

    チャカレーラは、農村部の祭りやパーティーでよく踊られるダンスであり、陽気なリズムと軽快なステップが特徴です。

フォルクローレの魅力

フォルクローレの魅力は、アルゼンチンの人々の生活や文化、そして魂が込められていることです。

各地域に根付いた独特の音楽や衣装、踊りを通して、アルゼンチンの多様な魅力を感じることができます。

フォルクローレは、アルゼンチンの人々にとって、伝統や文化を継承するための大切な手段です。

踊り手は、先祖から受け継いだ踊りを踊ることで、自分たちのルーツを確認し、文化的なアイデンティティを確立します。

クンビア

クンビアは、コロンビア発祥の音楽・ダンスですが、アルゼンチンでも若者を中心に人気を集めています。

ラテン音楽特有の陽気なリズムに合わせて、男女がペアで踊るのが特徴です。

クンビアの歴史

クンビアは、コロンビアのカリブ海沿岸地域17世紀頃に生まれた音楽とダンスのジャンルです。

その起源は、アフリカから連れてこられた奴隷、先住民、そしてスペインの文化が融合したことにあります。

アフリカの音楽のリズム、先住民の楽器、そしてスペインのメロディが組み合わさり、独特の音楽スタイルが形成されました。

初期のクンビアは、主にアフリカ系住民の間で、求愛のダンスや歌として親しまれていました。

20世紀に入ると、ラジオやレコードの普及により、クンビアはコロンビア国内だけでなく、中南米全体に広まりました。

各国で独自のスタイルが生まれ、メキシコのクンビア、アルゼンチンのクンビアなど、多様なバリエーションが生まれました。

1950年代には、クンビアの最初のレコード録音が行われ、商業的な音楽として発展し始めました。

現代のクンビアは、伝統的なスタイルを守りながらも、エレクトロニック・クンビアやクンビア・ビジェーラなど、若者を中心に人気を集める新しいスタイルも生まれています。

クンビアは、アフリカ、先住民、スペインの文化が融合した音楽であり、ラテンアメリカの多様な文化を象徴しています。

ダンス音楽として、人々の交流やコミュニケーションを促進する役割も果たしており、ラテンアメリカの音楽シーンにおいて、重要な位置を占める音楽ジャンルです。

クンビアの種類

クンビアには、以下のような様々なスタイルがあります。

  • クンビア・ビジェーラ
    アルゼンチンで生まれた独自のスタイル。

    都会的な要素を取り入れた、洗練された音楽とダンスが特徴です。

    クンビア・ビジェーラは、アルゼンチンの都市部で人気があり、洗練されたファッションやダンススタイルが特徴です。

  • クンビア・ノルテーニャ
    アルゼンチン北部のスタイル。

    アコーディオンやギターを使った、哀愁漂う音楽が特徴です。

    クンビア・ノルテーニャは、アルゼンチン北部の農村部で人気があり、伝統的な楽器を使った哀愁漂う音楽が特徴です。

クンビアの魅力

クンビアの魅力は、何と言ってもその陽気なリズムと、誰もが楽しめる親しみやすさです。

老若男女問わず、音楽に合わせて自由に体を動かすことができます。

クンビアは、アルゼンチンの人々にとって、コミュニケーションツールとしての役割も果たしています。

クンビアを一緒に踊ることで、初対面の人ともすぐに打ち解け、友情を深めることができます。

アルゼンチンのダンスを体験するには?

アルゼンチンでダンスを体験するには、以下の方法があります。

タンゴショー

ブエノスアイレスには、数多くのタンゴショーがあります。

プロのダンサーによる情熱的なパフォーマンスを鑑賞できます。

タンゴレッスン

タンゴレッスンを受ければ、初心者でもタンゴを踊れるようになります。

ブエノスアイレスには、数多くのタンゴスクールがあり、初心者から上級者まで、レベルに合わせたレッスンを受けることができます。

レッスンでは、基本的なステップや姿勢、リードとフォローの仕方などを学ぶことができ、タンゴの楽しさを体験できます。

フォルクローレのペーニャ

フォルクローレのペーニャ(ライブハウス)では、地元のミュージシャンによる演奏に合わせて、観客も一緒に踊ることができます。

ペーニャは、フォルクローレ音楽を楽しむことができる場所であり、アルゼンチンの伝統的な雰囲気を味わうことができます。

ペーニャでは、地元のミュージシャンによる生演奏に合わせて、観客も一緒に踊ったり、歌ったりすることができ、アルゼンチンの人々と交流することができます。

クンビアのクラブ:ブエノスアイレスのクラブでは、クンビアの音楽に合わせて、若者たちが踊り明かしています。

クンビアのクラブは、若者を中心に人気があり、陽気な音楽とダンスを楽しむことができます。

クラブでは、最新のクンビア音楽に合わせて、若者たちが自由に踊り、楽しい時間を過ごしています。

まとめ

アルゼンチンのダンス文化は、タンゴ、フォルクローレ、クンビアなど、多様なスタイルがあり、それぞれが独自の魅力を持っています。

これらのダンスは、アルゼンチンの歴史や文化、そして人々の情熱を表現するものであり、世界中の人々を魅了し続けています。

ぜひアルゼンチンを訪れて、情熱的なダンス文化を体験してみてください。

アルゼンチンのダンス文化をさらに深く知るために

  • アルゼンチンのダンスに関する書籍や映画、ドキュメンタリーなどを鑑賞する。

  • アルゼンチンのダンスに関するワークショップやイベントに参加する。

  • アルゼンチンのダンスに関する情報を発信しているウェブサイトやSNSをフォローする。

これらの方法を通して、アルゼンチンのダンス文化をさらに深く理解し、その魅力を存分に味わってください。

この記事を書いた人
@RAIN

音高・音大卒業後、新卒で芸能マネージャーになり、25歳からはフリーランスで芸能・音楽の裏方をしています。音楽業界で経験したことなどをこっそり書いています。
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