【ヒンドゥスターニー音楽】歴史と特徴を深掘り。

曲・ジャンル解説
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はじめに:インドの古典音楽

インドの音楽は、大きく分けて北インド「ヒンドゥスターニー音楽」南インド「カルナーティック音楽」の2つに分けられます。

本記事では、北インドのヒンドゥスターニー音楽に焦点を当て、その歴史、特徴、楽器、有名な演奏家、そして現代における影響について深く掘り下げていきます。

ヒンドゥスターニー音楽の歴史:古代から現代へ

ヒンドゥスターニー音楽の歴史は、古代インドの宗教音楽に始まり、イスラム文化との融合を経て、現代へと受け継がれる豊かな歴史を持っています。

古代

ヒンドゥスターニー音楽の起源は、古代インドの宗教音楽に遡ります。

ヴェーダの詠唱は、神々への賛歌として、音楽的な要素を含んでいました。

また、バラタ・ムニの演劇論『ナーティヤ・シャーシュトラ』には、当時の音楽理論や楽器について詳しく記されており、後のヒンドゥスターニー音楽の基礎となりました。

中世

中世に入ると、イスラム文化がインドに流入し、ペルシャやアラビア音楽理論や楽器が取り入れられました。

この融合が、ヒンドゥスターニー音楽の独自性を形成する上で大きな役割を果たしました。

特に、ムガル帝国の宮廷音楽として発展したことで、洗練された芸術音楽としての地位を確立しました。

近世

18世紀以降は、イギリスによる植民地支配を受けながらも、伝統的な音楽形式や楽器が継承されました。

宮廷音楽として発展したヒンドゥスターニー音楽は、次第に大衆へと広がり、様々な音楽家が現れました。

現代

20世紀に入ると、インド独立運動や文化復興の動きの中で、ヒンドゥスターニー音楽は再び注目を集め、国内外で多くの聴衆を魅了するようになりました。

ラヴィ・シャンカールなど、世界的に活躍する音楽家も現れ、ヒンドゥスターニー音楽は国際的な音楽として認知されるようになりました。

現代では、様々なジャンルの音楽との融合も積極的に行われ、新たな音楽表現を生み出しています。

ヒンドゥスターニー音楽の特徴:ラーガとターラ

ヒンドゥスターニー音楽の最大の特徴は、「ラーガ」と「ターラ」という2つの要素によって構成されていることです。

ラーガ(旋律)

音階や音の配置、装飾音など、旋律の骨格となる規則を指します。

ラーガにはそれぞれ固有の感情や季節、時間帯などが結び付けられており、演奏者はラーガのルールに従いながらも、即興的な演奏を行います。

ターラ(リズム)

リズムのパターンを指します。

ターラは、一定の拍数やアクセントの配置によって構成され、演奏者はターラのサイクルの中で様々なリズムを表現します。

ラーガとターラを組み合わせることで、ヒンドゥスターニー音楽は無限の表現を生み出すことができます。

演奏者は、ラーガの持つ感情や雰囲気、ターラの持つリズムに乗せて、即興的に旋律やリズムを変化させながら、聴衆を魅了します。

ヒンドゥスターニー音楽で使われる楽器

ヒンドゥスターニー音楽では、様々な楽器が使われます。

代表的な楽器としては、以下のようなものがあります。

シタール

弦楽器の一種で、美しい音色と複雑な装飾音を奏でることができます。

タンプーラ

持続音を奏でる弦楽器で、演奏の基盤となります。

サーランギー

擦弦楽器の一種で、豊かな表現力を持っています。

タブラ

2つの太鼓からなる打楽器で、複雑なリズムを刻みます。

ハルモニウム

鍵盤楽器の一種で、旋律を奏でることができます。

サロード

弦楽器の一種で、力強い音色が特徴です。

シェーナーイ

ダブルリードの管楽器で、宗教的な儀式などで演奏されます。

バンスリ

竹製の横笛で、繊細で美しい音色を奏でます。

これらの楽器は、それぞれ独自の音色や表現力を持っており、組み合わされることで豊かな音楽を生み出します。

ヒンドゥスターニー音楽の有名な演奏家

ヒンドゥスターニー音楽の歴史には、数多くの偉大な演奏家たちが存在します。

ラヴィ・シャンカール

シタール奏者として世界的に有名で、ビートルズとの共演など、西洋音楽との融合も積極的に行いました。

アッラー・ラクハ

タブラ奏者として高い技術を持ち、様々な音楽ジャンルとの共演も行いました。

ヴィラヤット・カーン

シタール奏者で、繊細で美しい旋律を奏でることで知られています。

キショリ・アモンカル

声楽家で、力強く感情豊かな歌声が特徴です。

ビムセン・ジョシ

声楽家で、古典的なスタイルを継承しながらも、独自の表現を追求しました。

ザキール・フセイン

タブラ奏者で、現代的なテクニックを取り入れ、幅広い音楽ジャンルで活躍しています。

シヴクマール・シャルマ

サントゥール奏者で、この楽器を世界的に有名にしました。

これらの演奏家たちは、ヒンドゥスターニー音楽の発展に大きく貢献し、後世に多大な影響を与えました。

ヒンドゥスターニー音楽の現代における影響

ヒンドゥスターニー音楽は、現代においても様々な分野で影響を与えています。

近年では、ラーガの持つ癒し効果が注目され、音楽療法の分野でも活用されています。

また、西洋音楽やジャズなど、他の音楽ジャンルとの融合も積極的に行われ、新たな音楽表現を生み出しています。

さらに、異文化交流の手段としても重要な役割を果たしており、世界中の音楽ファンを魅了しています。

インド音楽は、映画音楽やポップスなど、様々なジャンルの音楽にも影響を与えており、その影響力はますます拡大しています。

まとめ

ヒンドゥスターニー音楽は、古代から現代まで、豊かな歴史と伝統を持つインドの古典音楽です。

ラーガとターラという独自のシステムによって生み出される音楽は、奥深く、無限の表現力を持っています。

ぜひ、ヒンドゥスターニー音楽の世界に触れ、その深遠な魅力に触れてみてください。

参考文献

この記事を書いた人
@RAIN

音高・音大卒業後、新卒で芸能マネージャーになり、25歳からはフリーランスで芸能・音楽の裏方をしています。音楽業界で経験したことなどをこっそり書いています。
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