【音楽の起源】音楽はどこから始まった?人類と音の歴史。

音楽
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はじめに

音楽は、人類が長い歴史の中で培ってきた普遍的な表現手段の一つです。

喜び、悲しみ、怒りなど、様々な感情を音で表現し、人々に感動を与えてきました。

しかし、音楽がいつ、どのようにして生まれたのか、その起源は未だ謎に包まれています。

この記事では、音楽の起源を探るための様々な学説や、考古学的な発見、そして音楽が人類の進化に与えた影響について、より深く掘り下げて解説します。

自然の音からの模倣説

自然の音からの模倣説は、音楽の起源を説明する上で最も古く、直感的に理解しやすい説の一つです。

この説では、人類が最初に音楽を生み出したのは、自然界の音、つまり鳥のさえずり、川のせせらぎ、風の音などを模倣することから始まったと主張します。

自然の音模倣説を裏付ける証拠

  • 世界共通の音楽要素:
    世界中の様々な文化の音楽に共通して見られる要素(リズム、メロディー、ハーモニーなど)は、自然界の音に共通するパターンを反映している可能性があります。

  • 楽器の起源:
    最初の楽器は、自然物(木の実、竹など)を叩いたり擦ったりして音を出すことから始まったと考えられています。

  • 幼児の発達:
    乳幼児は、周囲の自然の音を模倣しながら言葉を学習します。

    このことは、音楽の起源が自然の音の模倣にあるという説を支持する一つの証拠と言えるかもしれません。


労働歌説

自然の音からの模倣説に続き、音楽の起源を説明する上で重要な説の一つに労働歌説があります。

この説は、人類が共同で作業を行う際に、リズムを刻みながら作業の効率を高め、一体感を生み出すために歌い始めたというものです。

労働歌説の根拠

  • 作業の効率化:
    リズムを刻むことで、作業の単調さを解消し、集中力を高め、作業効率を向上させられたと考えられます。

  • 集団意識の醸成:
    共同作業を通じて、歌は集団の一体感や帰属意識を高める役割を果たしたと考えられます。

  • コミュニケーションの促進:
    言葉がまだ発達していなかった時代には、歌はコミュニケーションの重要な手段の一つでした。

    作業の内容や手順、危険を知らせる合図などを歌で伝えていたと考えられます。

世界各地に見られる労働歌の例

  • 農作業歌:
    田植えや稲刈りなど、農業に関わる作業の際に歌われた歌です。

  • 木挽き歌:
    木材を切る作業の際に歌われた歌です。

  • 船漕ぎ歌:
    船を漕ぐ作業の際に歌われた歌です。

  • 建物の建設作業の歌:
    建物を建てる際の作業の際に歌われた歌です。

これらの労働歌は、世界各地で様々な形で存在しており、労働歌説を裏付ける証拠の一つとなっています。

労働歌説の意義

労働歌説は、音楽が単に娯楽ではなく、人間の生活や社会と深く結びついていたことを示唆しています。

労働歌は、単なる作業の伴奏ではなく、集団の絆を深め、文化を継承する重要な役割を果たしていたと考えられます。

呪術・宗教説

音楽の起源を説明する上で、自然の音からの模倣説や労働歌説と並んで重要なのが呪術・宗教説です。

この説は、音楽が、古代の人々にとって宗教的な儀式や呪術的な行為と深く結びついており、神々とのコミュニケーションや、超自然的な力との交流を目的として生まれたというものです。

呪術・宗教説の根拠

  • 世界各地の宗教儀式:
    世界中の様々な宗教において、音楽が儀式や祈りの重要な要素として用いられてきました。

    例えば、古代エジプトの宗教儀式では、音楽が神々を呼び寄せ、人々を神聖な状態へと導くために使用されていました。

  • シャーマニズム:
    シャーマニズムでは、シャーマンが太鼓や笛などの楽器を使ってトランス状態に入り、精霊界と交信したり、病気を治したりする際に音楽が重要な役割を果たしていました。

  • 古代の楽器:
    古代に発掘された楽器の中には、明らかに宗教的な儀式で使用されたと考えられるものも少なくありません。

  • 神話や伝説:
    世界各地の神話や伝説には、音楽が宇宙の創造や人類の誕生に関わる重要な役割を果たしたという記述が見られます。

呪術・宗教説の意義

呪術・宗教説は、音楽が単に娯楽やコミュニケーションの手段ではなく、人間の精神世界と深く結びついていたことを示唆しています。

音楽は、人々に超越的な体験をもたらし、集団の結束を固める上で重要な役割を果たしたと考えられます。

表現欲求説

音楽の起源を説明する上で、自然の音からの模倣説、労働歌説、呪術・宗教説と並んで重要なのが表現欲求説です。

この説は、人間は、喜び、悲しみ、怒りなど、心の内にある感情を表現したいという欲求を持っており、その欲求を満たすために音楽を生み出したというものです。

表現欲求説の根拠

  • 普遍的な感情:
    喜怒哀楽といった基本的な感情は、人間に限らず多くの動物にも見られます。

    音楽は、これらの感情を表現する最も効果的な手段の一つです。

  • 芸術活動:
    音楽は、絵画や彫刻など、他の芸術活動と同様に、人間の創造性を表現する手段の一つです。

  • 幼児の発達:
    幼児は、言葉を発する前から歌ったり踊ったりするなど、表現活動を行います。

    これは、人間が生まれながらに持つ表現欲求の現れと考えられます。

表現欲求説の意義

表現欲求説は、音楽が単に実用的な目的だけでなく、人間の心の奥底にある創造性や美意識を表現する手段であることを示唆しています。

音楽は、人々に感動を与え、心を豊かにするだけでなく、自己実現の手段としても機能してきたと考えられます。

考古学的な証拠

楽器の起源

世界各地で発掘される骨笛、石器製の打楽器、土器製の笛など、古代の楽器は音楽が人類の歴史の中で重要な役割を果たしていたことを示しています。

岩絵や洞窟壁画

古代の人々が音楽を奏でている様子が描かれた岩絵や洞窟壁画は、音楽が儀式や社会的な活動に深く結びついていたことを示唆しています。

生物学的な視点

脳の構造

音楽を聴いたり演奏したりする際に、の特定の部位が活性化されることが脳科学研究によって明らかになっています。

これは、音楽が人間の脳の進化に深く関わっていることを示唆しています。

遺伝子

音楽の才能や嗜好は遺伝的な要素も大きいと考えられており、音楽の起源を遺伝子のレベルで探る研究も進められています。

文化人類学的な視点

原始社会の音楽

現代の狩猟採集民や伝統的な社会における音楽の役割を研究することで、音楽がどのように社会を形成し、文化を伝えてきたかを探ることができます。

比較音楽学

世界各地の音楽を比較することで、音楽の普遍的な要素と文化特異的な要素を明らかにすることができます。

音楽が人類の進化に与えた影響

音楽は、単なる娯楽だけでなく、人類の進化に多大な影響を与えてきたと考えられています。

コミュニケーションの促進

音楽は、言葉を超えたコミュニケーション手段として、集団間の連携を強化し、社会の規模を拡大させる役割を果たしたと考えられます。

集団意識の醸成

共同作業や儀式など、集団で行う活動において、音楽は人々の心を一つにし、集団意識を形成する上で重要な役割を果たしました。

感情表現の深化

音楽は、喜びや悲しみ、怒りなど、人間の感情を豊かにし、複雑な感情を表現する手段として発展してきました。

これらの学説は互いに排斥しあうものではなく、複数の要素が複雑に絡み合って音楽が誕生したと考えられます。

まとめ

音楽の起源は、未だ完全には解明されていませんが、考古学、生物学、文化人類学など、様々な分野からの研究によって、少しずつその謎が明らかになりつつあります。

音楽は、単なる娯楽を超えて、人類の進化に深く関わってきた普遍的な現象であり、今後も多くの研究者によって探求されていくことでしょう。

この記事を書いた人
@RAIN

音高・音大卒業後、新卒で芸能マネージャーになり、25歳からはフリーランスで芸能・音楽の裏方をしています。音楽業界で経験したことなどをこっそり書いています。
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