カーニボアダイエットの始め方と注意点
カーニボアダイエットは、動物性食品だけを摂取する特殊な食事法です。
肉、魚、卵、乳製品など、動物から得られる食材のみを食べることで、健康を改善しようとする、近年注目されている特殊な食事法です。
この食事法は、炎症の軽減、消化器系の改善、体重管理、そして精神的な明晰さの向上など、様々な健康上のメリットが期待できるとして実践者が増えています。
しかし、その実践には正しい知識と準備が不可欠です。
ここでは、カーニボアダイエットの基本的な考え方から具体的な始め方と実践上の注意点について詳しく説明します。みなさんがこの食事法を理解し、安全に始めるために必要な情報を詳しく解説します。
カーニボアダイエットの始め方
このユニークな食事法を安全かつ効果的に始めるためには、いくつかのステップを踏むことが重要です。
計画を立てる
カーニボアダイエットを始める前に、まず計画を立てることが重要です。
なぜこの食事法を始めるのか、明確な目標(例:特定の体調不良の改善、体重管理、エネルギーレベルの向上など)を設定することが、継続のモチベーションに繋がります。
そして、どのような動物性食品をどれくらい摂取するかを決めましょう。
まずは「30日間だけ試してみる」といった初期期間を設定し、その間にどんな変化を期待するかを考えてみましょう。体調に合わせて柔軟に調整することも大切です。
必要な食材を揃える
カーニボアダイエットでは、肉が主食となります。
牛肉、豚肉、鶏肉、魚など、好きな種類を選びましょう。
特に、牧草飼育の牛肉や天然の魚など、質の良い動物性食品を選ぶことで、より多くの栄養を摂取できます。
また、卵や乳製品(チーズ、バターなど)も含めることができます。
さらに、レバーやハツといった内臓肉(臓物)は、豊富なビタミンやミネラルを含むため、積極的に取り入れることを強くおすすめします。脂身の多い部位を選んだり、バターやラードなどの動物性脂質を意識的に摂ったりすることも、重要なエネルギー源となるため効果的です。
調味料は基本的に塩のみが推奨されます。質の良い海塩などを積極的に使い、その他の香辛料や加工された調味料は最小限に抑えましょう。
水分補給
水分補給も忘れずに行いましょう。
水、無糖の炭酸水、ブラックコーヒー、紅茶などが推奨されます。
さらに重要なのが、十分な電解質、特に塩分の摂取です。カーニボアダイエットの初期に起こりやすい「ケトフルー」と呼ばれる一時的な体調不良(だるさ、頭痛など)は、電解質不足が原因であることが多いため、高品質な塩を適切に摂ることを意識しましょう。
徐々に移行する
初めての方は、急に全ての植物性食品をやめるのではなく、徐々に移行することをおすすめします。
少しずつ動物性食品の割合を増やしていきましょう。
例えば、まずは加工食品や砂糖を避けることから始め、
次に穀物や豆類、最後に野菜や果物の摂取量を減らしていくなど、段階的に動物性食品の割合を増やしていくと良いでしょう。
一口にカーニボアダイエットと言っても、厳密に動物性食品のみを摂取する「クリーンなカーニボア」と、少量のスパイスや特定の植物性食品を許容する「柔軟なカーニボア」があります。ご自身の体調やライフスタイルに合わせて、無理なく始められる方法を選んでください。
自分の体調をチェックする
カーニボアダイエットを始めたら、自分の体調をこまめにチェックすることが大切です。
エネルギーレベルや消化の調子、体重の変化などを観察しましょう。
特に開始初期には、だるさ、頭痛、消化不良、下痢などの「ケトフルー」に似た一時的な症状が出ることがあります。これらは体が新しい食事法に慣れる過程で起こることが多いため、十分な水分と塩分を摂り、睡眠をしっかり取ることで対処できる場合がほとんどです。
もし体調不良が長く続く場合や、何か持病をお持ちの場合は、必ず医師や栄養士などの専門家に相談し、アドバイスを受けるようにしてください。
カーニボアダイエットの注意点
栄養バランスに注意
動物性食品のみを摂取するため、栄養バランスに注意が必要です。
特にビタミンCや食物繊維など、植物性食品から得られる栄養素が不足する可能性があります。
対策としては、内臓肉(レバーなど)を積極的に取り入れることで、一部のビタミンやミネラルを補給できます。また、普段の食事でどのような栄養素を摂っていたのかを把握し、不足しがちな栄養素がないか意識することが大切です。必要に応じて、信頼できるサプリメントの利用を検討することも一つの方法です。
尿酸値の上昇に注意
肉や魚介類の摂取量が増えることで、体内の尿酸値が上昇することがあります。これは、プリン体の摂取量が増えるためです。
痛風などのリスクがある方は、特に注意が必要です。
すでに痛風の既往がある方や、尿酸値が高いと指摘されている方は、カーニボアダイエットを始める前に必ず医師に相談してください。また、尿酸値の変動に注意しながら、定期的な健康診断で自身の状態を確認することが重要です。水分を十分に摂ることも、尿酸の排出を助ける上で役立ちます。
腸内環境の変化に注意
カーニボアダイエットでは、食物繊維が不足するため、腸内環境が変化することがあります。
これにより、便秘や消化不良などの症状が出る場合があります。
腸の働きをサポートするために、十分な水分補給はもちろんのこと、質の良い動物性脂質を適度に摂ることが推奨されます。もし症状が続くようであれば、一時的に少量の発酵食品(ただし植物性由来は避ける)を試すか、体質に合っているか再検討することも必要かもしれません。
医師の相談
特に持病がある方や健康に不安がある方は、ダイエットを始める前に医師に相談することをおすすめします。
特に腎臓病や肝臓病、高血圧、糖尿病などを患っている方、あるいは妊娠中や授乳中の方は、カーニボアダイエットを始める前に必ず医師や専門の栄養士に相談してください。個々の健康状態によっては、この食事法が適さない場合があります。専門家のアドバイスなしに開始することは避けるべきです。
自分に合った方法を見つける
すべての人にカーニボアダイエットが合うわけではありません。また、厳密な「クリーンカーニボア」から、許容範囲を広げた「柔軟なカーニボア」まで、様々な実践方法があります。
自分の体調やライフスタイルに合った方法を見つけることが重要です。
自分の体質、健康状態、ライフスタイルに合わせて、無理なく行いましょう。体調の変化に敏感になり、不調を感じた場合はすぐに食事内容を見直したり、専門家に相談したりする柔軟な姿勢も大切です。長期的な健康を見据え、自分にとって最適なバランスを探しましょう。
MCTオイルはココナッツ由来の植物性オイルですが、純粋な脂肪酸であり、
カーニボアダイエットの目的であるケトン体生成を強力にサポートするため、
多くの実践者に利用されています。
カーニボアダイエットで摂取しない食材
カーニボアダイエットでは、以下の食材を摂取しません。
野菜
すべての種類の野菜(ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、トマト、レタス、キュウリ、ジャガイモ、サツマイモ、キノコ類など)。
私たちが普段口にするあらゆる野菜が含まれます。カーニボアダイエットでは、植物に含まれる抗栄養素や消化負担の可能性を避けるという考え方に基づいています。
果物
すべての種類の果物(りんご、バナナ、オレンジ、ベリー類など)。
甘いものからそうでないものまで、全ての果物が対象です。果物に含まれる果糖も避けるべきと考えられています。
穀物
すべての種類の穀物(米、小麦、オーツ、キヌア、トウモロコシ、大麦、ライ麦など)。
パン、パスタ、シリアル、クッキーなども、穀物から作られているため摂取の対象外となります。
豆類
すべての種類の豆類(レンズ豆、ひよこ豆、大豆、インゲン豆、エンドウ豆など)。(豆腐や納豆などの加工品も含む)
豆類に含まれるレクチンやフィチン酸といった成分を避ける目的もあります。
加工食品
すべての加工食品(スナック菓子、ジャンクフード、ソーセージやハムなどの加工肉など)。
インスタント食品、冷凍食品、レトルト食品、菓子パンなどもこれに該当します。これらは添加物や不要な植物油、砂糖などを多く含むためです。
砂糖
すべての種類の砂糖(白砂糖、黒糖、蜂蜜、メープルシロップ、アガベシロップ、人工甘味料など)。
あらゆる種類の甘味料が対象外です。これにより、血糖値の急激な上昇を避け、インスリン抵抗性の改善を目指します。
植物油
すべての種類の植物油(キャノーラ油、大豆油、オリーブオイル、ひまわり油、コーン油、ごま油など)。
一般的に使われる植物由来の油は使用しません。代わりに、バター、ラード、牛脂などの動物性脂質を料理に用いることが推奨されます。これらの植物油は、多くの場合、加工過程で酸化しやすく、体内で炎症を引き起こす可能性があると考えられています。
カーニボアダイエットの効果と信頼できる情報
カーニボアダイエットには、さまざまな効果が期待されます。
ここからは、効果について信頼できる情報を紹介します。
カーニボアダイエットの効果
体重減少
カーニボアダイエットを続けることで、体重が減少することが報告されています。
ある研究によれば、炭水化物を摂取しないため、体が脂肪を燃焼しやすくなるとされています。
炭水化物を極端に制限することで、体は主なエネルギー源を糖質から脂質へと切り替えます(ケトーシス状態)。これにより、体内の脂肪を効率的に燃焼しやすくなり、自然な形で体重が減少すると考えられています。
また、動物性食品は満腹感を得やすく、間食や過食を防ぐ効果も期待できます。
エネルギーレベルの向上
動物性食品から得られる高タンパク質の摂取により、エネルギーレベルが向上し、日常生活でのパフォーマンスが上がると報告されています。
これにより、血糖値の急激な変動が抑えられ、日中のエネルギーレベルが安定しやすくなります。集中力の向上や疲労感の軽減など、日常生活でのパフォーマンスアップを実感する声も多く聞かれます。
血糖値の安定
炭水化物を避けることで、血糖値の急上昇を防ぎ、安定させる効果があります。
これにより、糖尿病のリスクが減少する可能性が示唆されています。
インスリンの分泌が抑えられるため、インスリン抵抗性の改善にも繋がり、結果として2型糖尿病のリスクを減少させる可能性が示唆されています。すでに血糖値が高い方にとっては、血糖コントロールの一助となることが期待されます。
炎症の軽減
動物性食品には抗炎症効果があると言われており、体内の炎症を軽減する効果が期待されています。
カーニボアダイエットでは、植物性食品に含まれる炎症を促進する可能性のある成分(例:レクチン、フィチン酸、オキサレートなど)や、加工食品に含まれる人工的な添加物を摂取しないため、体への負担が減ると考えられています。
これにより、関節の痛みやアレルギー症状、自己免疫疾患の症状が改善したという事例も見られます。
メンタルの改善
一部の研究では、カーニボアダイエットによりメンタルヘルスの改善が見られることが報告されています。
気分の安定や集中力の向上が見られることがあります。
血糖値の安定は気分の浮き沈みを減らし、より安定した精神状態を保つことに貢献します。また、脳に必要な栄養素(特に脂溶性ビタミンやコリンなど)が効率的に供給されることで、集中力の向上や不安感の軽減、思考の明晰化といった効果が報告されており、全体的なメンタルの安定に繋がる可能性があります。
まとめ
カーニボアダイエットは、肉、魚、卵、乳製品といった動物性食品のみを摂取するユニークな食事法です。この食生活は、単なる減量法に留まらず、炎症の軽減、消化器系の改善、エネルギーレベルの向上、そしてメンタルの安定など、多岐にわたる健康効果が期待されています。
始め方や注意点を理解し、適切に取り組むことで、多くの健康効果が期待できます。
ただし、栄養バランスや体調の変化に注意し、自分に合った方法を見つけることが重要です。
栄養バランスの偏り、尿酸値の上昇、腸内環境の変化といった注意点も存在します。そのため、自身の体調の変化には常に敏感になり、不調を感じた場合は適切に対処することが大切です。持病がある方や健康に不安がある方は、必ず専門家の意見を求めるようにしてください。
すべての人にこの食事法が合うわけではありませんが、正しい知識を持って自分に合った方法を見つけることで、カーニボアダイエットはあなたの健康とウェルビーイングを向上させる強力なツールとなり得ます。この情報が、あなたがカーニボアダイエットを深く理解し、実践する上での一助となれば幸いです。
参考文献
- “Carnivore Diet: The Pros, Cons, and Tips for Success”, Healthline, 2022.
- “The Carnivore Diet: Benefits, Risks, and How to Get Started”, Medical News Today, 2021.
- “Personal Experiences on the Carnivore Diet”, Diet Doctor, 2023.

