はじめに
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、クラシック音楽界で古典派音楽を代表する作曲家として知られ、その音楽は時を超えて今なお世界中で愛され続けています。
ここでは元音大生の筆者が、前半は代表曲、後半は個人的な好みが入りまくりの名曲を、クラシック音楽初心者の方でも楽しめる楽曲に絞って紹介します。
ぜひ一度聴いてみてください!
言わずもがな…な名曲は、参考リンクを割愛させていただきます。(リンクだらけになってしまうので…)
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生い立ち
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、1756年にオーストリアのザルツブルクで生まれました。父レオポルトも優れた音楽家であり、幼い頃から彼の類まれなる才能を見出し、厳格な音楽教育を施しました。モーツァルトは3歳で鍵盤楽器を弾き始め、5歳で作曲を始めるなど、まさに神童と呼ぶにふさわしい才能を発揮しました。
神童の時代(~1780年頃)
幼少期のモーツァルトは、父レオポルトとともにヨーロッパ各地を旅し、王侯貴族の前でその演奏と作曲の才能を披露しました。パリ、ロンドン、アムステルダム、イタリアなど、各地で絶賛を浴び、彼の名はヨーロッパ中に知れ渡りました。
この時期に作曲された作品には、まだ幼いながらも、その才能の片鱗が随所に感じられます。しかし、旅の生活は決して楽なものではなく、肉体的にも精神的にも大きな負担を伴いました。
交響曲第25番
交響曲第29番
ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」
ウィーンでの独立と円熟期(1781年~1790年頃)
25歳になったモーツァルトは、ザルツブルクでの窮屈な宮廷生活に嫌気がさし、自由を求めてウィーンへと移り住みました。彼は、宮廷に仕えるのではなく、フリーランスの音楽家として、作曲や演奏、弟子への指導などで生計を立てようとしました。
この時期に、彼はハイドンと親交を深め、自身の創作をさらに深めていきます。そして、3大オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」や、数々の傑作協奏曲、交響曲を生み出しました。この時期は、彼の創作活動が最も円熟し、輝かしい時代でした。
交響曲第40番
ピアノ協奏曲第21番
歌劇「フィガロの結婚」
晩年の傑作と終焉(1791年)
晩年のモーツァルトは、経済的な困窮と病に苦しみました。しかし、その短い期間にこそ、彼の創作はさらなる深みと精神性を獲得しました。最後の交響曲である「ジュピター」や、彼の音楽の集大成ともいえる「クラリネット協奏曲」、そして謎の人物から依頼された未完の「レクイエム」がこの時期に作曲されました。
彼の死後、その才能が改めて評価され、彼は音楽史上の巨匠としての地位を確固たるものにしました。
交響曲第41番「ジュピター」
クラリネット協奏曲
レクイエム(未完)
ここから、名曲をご紹介します。
アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525
モーツァルトが作曲したセレナーデの中でも、最も有名で、親しみやすい作品です。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」とはドイツ語で「小さな夜の曲」という意味で、夜の社交の場のために書かれた曲とされています。
弦楽器だけで演奏されるこの曲は、シンプルでありながら、モーツァルトらしい優雅で流麗な旋律に満ちています。
おすすめポイント
この曲の魅力は、耳にした瞬間に心が晴れやかになるような、親しみやすく美しい旋律です。特に、冒頭の第一楽章は、誰もが一度は耳にしたことがある有名なメロディであり、モーツァルトが持つ天性のメロディメーカーとしての才能を存分に感じることができます。
また、各楽章がそれぞれ異なる表情を持ちながらも、全体として一貫した優雅な雰囲気を保っています。この曲を聴くと、モーツァルトの音楽が持つ、聴く者を無条件に幸せな気持ちにさせる力を感じ取ることができるでしょう。
歌劇「フィガロの結婚」
モーツァルトがウィーンで作曲した、3大オペラの一つです。ボーマルシェの戯曲を原作とし、貴族と使用人の間で巻き起こるドタバタ劇を、モーツァルトの巧みな音楽で描き出しています。喜劇でありながら、当時の社会制度への風刺や、人間の複雑な感情が繊細に表現されており、ウィーンの聴衆に絶賛されました。
おすすめポイント
この作品の魅力は、登場人物一人ひとりの個性や感情が、音楽によって生き生きと描かれている点です。例えば、フィガロとスザンナの機知に富んだやり取りや、伯爵夫人の切ないアリアなど、それぞれのキャラクターの心情が、モーツァルトの流麗な旋律と巧みなオーケストレーションによって見事に表現されています。
また、アンサンブル(重唱)の場面では、複数の人物の感情が同時に進行し、音楽的な混乱の中にこそ、人間の複雑な関係性を見事に描き出しています。
ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467
モーツァルトが作曲した全27曲のピアノ協奏曲の中でも、特に人気が高く、美しい旋律に満ちた作品です。この曲は、モーツァルトがウィーンで自らがピアニストとして演奏するために書かれたもので、ピアノとオーケストラが対話するように、流麗な旋律を織りなしていきます。
特に、第二楽章の清らかなメロディは、映画「エルヴィラ・マディガン」で使用されたことから、広く知られるようになりました。
おすすめポイント
この曲の魅力は、ピアノとオーケストラの優雅で美しい対話です。第二楽章は、非常にシンプルでありながら、聴く者の心に深く染み渡るような、清らかで感動的な旋律を持っています。このメロディは、モーツァルトが持つ純粋な美意識の結晶であり、静かな感動を与えてくれます。また、第一楽章や第三楽章の華やかで躍動的な旋律との対比も、この曲の大きな魅力です。
交響曲第40番 ト短調 K.550
モーツァルトがウィーンで作曲した最後の3つの交響曲の一つで、彼の作品の中では珍しく、短調で書かれています。この曲は、彼の内面の苦悩や悲しみを深く表現した作品とされており、古典派の枠を超えた、情熱的でロマンティックな要素が見られます。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、モーツァルトが持つ「光」と「闇」の二面性です。流麗で美しいメロディに満ちた彼の他の作品とは異なり、この交響曲は、冒頭から悲しげで、どこか不安な雰囲気に包まれています。
しかし、その悲しみの中にも、美しい旋律や、情熱的な高揚が随所に現れ、聴く者の心を強く揺さぶります。この作品を聴くと、常に明るく、陽気なイメージを持たれがちなモーツァルトの、深く繊細な内面を垣間見ることができるでしょう。
歌劇「魔笛」
モーツァルトが病に苦しみ、経済的な困窮に直面していた晩年に作曲された最後のオペラです。当時流行していたジングシュピール(ドイツ語の歌芝居)の形式で書かれており、神秘的な物語と、親しみやすい歌、そして厳粛な儀式音楽が融合した、非常にユニークな作品です。
フリーメイソンに深く関わっていたモーツァルトの思想が色濃く反映されており、光と闇、善と悪の対立が描かれています。
おすすめポイント
この作品の魅力は、物語の奥深さと、音楽の多様性です。夜の女王のコロラトゥーラ(技巧的な装飾を多用した旋律)の華やかなアリアから、パパゲーノとパパゲーナのコミカルな二重唱、そして厳粛で荘厳な合唱まで、多種多様な音楽が詰まっています。
そして、その多様な音楽を通して、真実の愛や知恵、そして兄弟愛といった普遍的なテーマが描かれています。このオペラは、モーツァルトの音楽家としての才能だけでなく、彼の深い人間性と哲学的な思想をも感じさせてくれる傑作です。
ここから、好み入りまくりのおすすめ曲をご紹介します。
オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
モーツァルトが22歳、マンハイム滞在中に作曲した、オーボエという楽器の魅力を存分に引き出した傑作です。この曲は、モーツァルトのオーボエ協奏曲としては唯一残された作品であり、木管楽器の協奏曲を語る上で欠かせない存在となっています。
後にフルート協奏曲ニ長調として編曲されましたが、その原曲であるオーボエ協奏曲は、より豊かな音色と表現力を持ち、オーボエ奏者にとって重要なレパートリーとなっています。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、オーボエが持つ、歌心溢れる音色を最大限に活かしている点です。第一楽章の優雅で華やかな旋律から始まり、続く第二楽章では、まるでオペラのアリアのように、オーボエが切なく、そして甘く歌い上げます。この第二楽章は、モーツァルトが持つ美しいメロディセンスが凝縮されており、聴く者の心を強く惹きつけます。
また、終楽章の軽快で快活なロンド形式は、聴く者を楽しい気分にさせてくれます。この協奏曲は、オーボエという楽器の魅力を再認識させてくれる、モーツァルトの才能が光る一曲です。
ピアノソナタ第6番 ニ長調 K.284
モーツァルトが1775年、ミュンヘンで作曲した初期のピアノソナタです。この時期、モーツァルトは19歳で、まだザルツブルクの宮廷に仕えていました。このソナタは、バイエルン選帝侯カール・テオドールの宮廷の愛好家デュルニッツ男爵のために書かれたため、「デュルニッツ」の愛称で親しまれています。
モーツァルトは、ピアノという楽器の可能性を追求し、技巧的な要素を多く盛り込みながら、同時に優雅で流麗なメロディを生み出しました。
おすすめポイント
モーツァルトが生涯で作曲した18曲のピアノソナタの中でも、この第6番は初期のピアノソナタの集大成ともいえる重要な作品です。特に、このソナタが独創的なのは、終楽章が変奏曲形式で書かれている点です。優雅で美しい主題が、12の個性豊かな変奏によって展開されていきます。この変奏曲は、それぞれが異なる表情を持ちながらも、全体として一つのまとまりのある物語を形成しており、モーツァルトが持つ構成力とアイデアの豊かさを感じさせます。
また、第11変奏は、当時の最先端の演奏技法を駆使した、非常に技巧的なパッセージで書かれており、ピアニストとしてのモーツァルトの才能を垣間見ることができます。このソナタは、モーツァルトのピアノソナタの中でも、その後の彼の創作を予感させる重要な位置を占める一曲です。
まとめ
モーツァルトの音楽は、世代を超えて多くの人々に愛されています。一度は聴いたことがあるメロディーも出てくると思いますが、ぜひ最初から最後まで通して聴いてみてください。
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