はじめに
ヨハネス・ブラームスは、クラシック音楽界で多数の名曲を残したドイツの作曲家で、その音楽は時を超えて今なお世界中で愛され続けています。
ここでは元音大生の筆者が、前半は代表曲、後半は個人的な好みが入りまくりの名曲を、クラシック音楽初心者の方でも楽しめる楽曲に絞って紹介します。
ぜひ一度聴いてみてください!
言わずもがな…な名曲は、参考リンクを割愛させていただきます。(リンクだらけになってしまうので…)
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生い立ち
ヨハネス・ブラームスは、1833年にドイツのハンブルクで生まれました。貧しい家庭に育ちましたが、幼い頃から音楽の才能を発揮し、ピアニスト、そして作曲家として頭角を現します。彼は、当時流行していた標題音楽を好まず、あくまで「絶対音楽」の道を追求しました。彼の人生は、尊敬する師との出会い、そして友との深い絆によって彩られました。
若き日の才能と出会い(~1862年頃)
ブラームスは、ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムと出会い、彼を通じてロベルト・シューマン夫妻と知り合います。シューマンは、若きブラームスの才能を絶賛し、自らの音楽評論誌に「新しい道」という記事を寄稿して、彼を世に紹介しました。
この出会いが、ブラームスの人生に決定的な影響を与えます。彼は、シューマンを深く尊敬し、またシューマンの妻クララにも特別な感情を抱きました。この時期の作品には、若々しい情熱と、師であるシューマンからの影響が色濃く現れています。
ピアノ協奏曲第1番
ピアノ四重奏曲第1番
ハンガリー舞曲集
ウィーンでの成功と内省(1863年~1876年頃)
ブラームスは、音楽の都ウィーンへと移り住み、そこで作曲家としての地位を確立します。彼は、指揮者としても活躍し、当時のウィーンの音楽界で重要な存在となりました。
この時期のブラームスは、作曲に非常に慎重で、特に交響曲の作曲には長い時間を費やしました。それは、ベートーヴェンという偉大な存在を意識していたからだと言われています。彼の音楽は、より内省的で、深い感情を表現するようになります。
交響曲第1番
ドイツ・レクイエム
ヴァイオリン協奏曲
晩年の円熟と終焉(1877年~1897年)
ブラームスは、生涯独身を貫き、晩年はウィーンで静かに創作活動を続けました。彼の晩年の作品は、初期や中期のような情熱的な要素は鳴りを潜め、より穏やかで、深く、そして諦観のような感情が感じられます。
しかし、その中には、温かみのある深い叙情性が満ちています。1897年、彼は64歳でその生涯を閉じました。彼の死後、彼の作品は、その深みと完璧な構成美によって、ますます評価を高めていきました。
交響曲第4番
クラリネット五重奏曲
間奏曲集 作品118
ここから、名曲をご紹介します。
交響曲第1番 ハ短調 作品68
ブラームスが20年もの歳月をかけて完成させた、彼の唯一の交響曲です。彼は、ベートーヴェンの交響曲第9番という偉大な作品を強く意識しており、「第10番」と呼ばれることを望まなかったと言われています。しかし、完成したこの交響曲は、その重厚な響きと、ベートーヴェンを思わせる力強い構成から、「ベートーヴェンの第10交響曲」と称されるようになりました。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、ベートーヴェンへの深い敬意と、ブラームス独自のロマンティックな感情が融合している点です。冒頭の重々しい序奏は、聴く者を一瞬でブラームスの世界へと引き込みます。そして、第四楽章で現れる、ベートーヴェンの交響曲第9番を彷彿とさせる壮大な主題は、この交響曲のクライマックスを飾ります。
この曲を聴くと、ブラームスが古典派の伝統を深く理解し、それを自分自身の言葉で語り直そうとした、彼の音楽家としての真摯な姿勢を感じることができるでしょう。
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ブラームスが作曲した唯一のヴァイオリン協奏曲で、彼の親友であり、偉大なヴァイオリニストであったヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されました。この曲は、単なるヴァイオリンの技巧を披露するだけでなく、オーケストラとヴァイオリンが対等に、そして深く対話するように書かれており、協奏曲の形式を新たな次元へと高めました。
おすすめポイント
この曲の魅力は、ヴァイオリンとオーケストラが一体となって織りなす、壮大で叙情的な響きです。特に、第二楽章の、オーボエが奏でる美しい旋律は、ブラームスが持つ深い抒情性が凝縮されており、聴く者の心に深く染み渡ります。
また、終楽章のハンガリー風の旋律は、ブラームスが持つ民族音楽への深い愛情を感じさせます。この協奏曲は、技巧的な華やかさだけでなく、深い精神性と、豊かな歌心を持つ、ロマン派の協奏曲の傑作です。
弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18
ブラームスがまだ若かった時期に作曲された、室内楽の傑作です。この曲は、ヴァイオリン2本、ヴィオラ2本、チェロ2本というユニークな編成で書かれており、弦楽器の持つ豊かな音色を最大限に引き出しています。この曲は、ブラームスの若々しい情熱と、ロマンティックな旋律に満ちています。
おすすめポイント
この曲の魅力は、弦楽器の豊かな音色と、ブラームスならではの美しい旋律です。特に、第二楽章の、切なく、そして甘い主題と、その主題が、様々な楽器によって変奏されていく様子は、聴く者の心を強く惹きつけます。この曲は、ブラームスが持つ、メロディメーカーとしての才能と、室内楽における音の組み合わせの巧みさを証明する傑作です。
ハンガリー舞曲集 WoO 1
ブラームスが作曲した全21曲からなるピアノ連弾曲集で、ハンガリーの民族音楽からインスピレーションを得て書かれました。この曲集は、ブラームスが持つ民族音楽への深い愛情と、ロマンティックな感性が融合しており、彼の作品の中でも特に親しみやすく、多くの人々に愛されています。特に、第5番は、単独で演奏されることも多く、彼の代名詞とも言える作品です。
おすすめポイント
この曲集の魅力は、ハンガリーの民族的なリズムと、ブラームスならではの美しい旋律が融合している点です。それぞれの舞曲は、活気に満ち、情熱的で、聴く者を楽しい気分にさせてくれます。この曲集を聴くと、ブラームスが持つ、民族音楽への深い理解と、それを自分自身の言葉で語り直す才能を強く感じることができるでしょう。
ドイツ・レクイエム 作品45
ブラームスが約10年をかけて完成させた、大規模な合唱曲です。この曲は、通常のラテン語の典礼文ではなく、ルター訳の聖書からテキストが選ばれており、死者を悼むだけでなく、生きている者への慰めと、希望を歌っています。ブラームスの信仰心と、人間への深い愛が凝縮された、彼の最も重要な作品の一つです。
おすすめポイント
この曲の魅力は、深い悲しみと、静かな希望が織りなす、壮大な世界観です。ブラームスの音楽は、力強く、そして穏やかに、死という普遍的なテーマに寄り添います。特に、第5曲「あなたがたは今、悲嘆に暮れている」は、ソプラノ独唱と合唱が、深い悲しみと、神からの慰めを美しく歌い上げます。
この作品は、ブラームスが持つ、人間の感情への深い洞察と、音楽を通して人々に安らぎを与えようとした、彼の真摯な姿勢を感じることができるでしょう。
ここから、好み入りまくりのおすすめ曲をご紹介します。
6つのピアノ小品集 作品118 より 第2番 イ長調
ブラームスが晩年に作曲した「6つのピアノ小品集 作品118」は、彼の最晩年の心境を映し出した内省的な傑作です。この作品集は、ブラームスが愛したクララ・シューマンに献呈されており、二人の間に流れる穏やかで深い愛情が音楽によって表現されています。特に第2番は、ブラームスのピアノ作品の中でも最も有名で、美しい旋律に満ちた作品です。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、静かで穏やかな旋律に宿る、深い人間的な温かさです。ブラームスの他の作品のような情熱的な高揚や技巧的な華やかさはありませんが、その代わりに、聴く者の心に静かに寄り添うような、優しく、そして切ないメロディが流れていきます。
曲全体を包み込む穏やかな雰囲気は、まるで老境に入ったブラームスが、過ぎ去った日々を静かに回想しているかのようです。この曲は、ブラームスが持つ深い抒情性と、人生の円熟を感じさせる、彼のピアノ作品の真骨頂と言えるでしょう。
パガニーニの主題による変奏曲 作品35
ブラームスが1863年に作曲した、ピアノ独奏のための変奏曲集です。この作品は、ヴァイオリニストのニコロ・パガニーニが作曲した「24のカプリス」の第24番の主題を基に、ブラームスが自身の超絶技巧を披露するために書かれました。技巧的な難しさから、多くのピアニストにとっての究極の試練とされており、「ブラームスの交響曲」とも呼ばれています。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、ブラームスの卓越した作曲技法と、超絶技巧が融合している点です。パガニーニのシンプルな主題が、ブラームスの手によって、驚くほど多様で、独創的な変奏へと姿を変えていきます。
この変奏曲は、激しい感情の爆発、深い叙情性、そしてユーモラスな要素まで、様々な表情を持っており、ブラームスの幅広い音楽的才能を証明しています。この曲を聴くと、彼が古典派の伝統を深く理解しながらも、ロマン派の新しい表現を追求していたことがわかるでしょう。
まとめ
ブラームスの音楽は、世代を超えて多くの人々に愛されています。一度は聴いたことがあるメロディーも出てくると思いますが、ぜひ最初から最後まで通して聴いてみてください。
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