はじめに
フランツ・リストは、クラシック音楽界で「ピアノの魔術師」として知られ、その音楽は時を超えて今なお世界中で愛され続けています。
ここでは元音大生の筆者が、前半は代表曲、後半は個人的な好みが入りまくりの名曲を、クラシック音楽初心者の方でも楽しめる楽曲に絞って紹介します。
ぜひ一度聴いてみてください!
言わずもがな…な名曲は、参考リンクを割愛させていただきます。(リンクだらけになってしまうので…)
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生い立ち
フランツ・リストは、1811年にハンガリーで生まれました。幼少期からピアノの才能を発揮し、12歳でウィーンへ渡り、チェルニーに師事。その後、パリで華々しいキャリアをスタートさせます。彼は、単なるピアニストにとどまらず、作曲家、そして慈善活動家としても精力的に活動しました。彼の人生は、大きく3つの時期に分けることができます。
華麗なるピアニストの時代(~1847年)
リストは、ベートーヴェンやベルリオーズ、ショパンといった同時代の巨匠たちと交流を深めながら、ヨーロッパ各地でコンサートツアーを行いました。彼の演奏は、観客を熱狂させ、時に失神する女性も現れるほどの人気でした。
彼は、ベートーヴェンの交響曲や、ベルリオーズの「幻想交響曲」をピアノ独奏用に編曲するなど、ピアノ音楽のレパートリーを大幅に拡大しました。この時期の作品には、彼が持つ超絶技巧が存分に発揮されています。
巡礼の年
超絶技巧練習曲
ラ・カンパネラ
ヴァイマール宮廷での時代(1848年~1861年)
リストは、ピアニストとしてのコンサート活動から身を引き、ヴァイマール大公の宮廷楽長として、作曲と指揮に専念するようになります。この時期、彼は新しい形式である「交響詩」を確立し、数々の管弦楽曲を作曲しました。
この時期の作品には、文学や絵画といった、音楽以外の芸術からインスピレーションを得たものが多く見られます。彼は、ワーグナーやベルリオーズといった若い才能を積極的に支援し、ヴァイマールをロマン派音楽の中心地へと変えました。
交響詩「前奏曲」
ピアノソナタ ロ短調
ファウスト交響曲
晩年の静寂と宗教的探求(1862年~)
リストは、ヴァイマールの宮廷を離れ、ローマに移り住み、司祭職に就きます。この時期、彼は世俗的な音楽から離れ、宗教的な作品を多く作曲しました。また、彼は教育者としても熱心であり、多くの若き才能を指導しました。晩年の作品には、ピアニストとしての超絶技巧は鳴りを潜め、より内省的で、深い精神性が感じられるものが多くなっています。
忘れられたワルツ
悲しみのゴンドラ
晩年のキリスト
ここから、名曲をご紹介します。
ピアノソナタ ロ短調 S.178
このソナタは、リストのピアノ作品の中でも最も重要な傑作の一つです。ベートーヴェンが確立したソナタの形式を大胆に刷新し、単一の楽章で、複数の主題が変形されながら展開していく独自の構成を持っています。
この曲は、善と悪、光と闇といった相反する概念を音楽で表現しようとした、リストの深い哲学が反映された作品です。ワーグナーに献呈され、当時の音楽界に大きな衝撃を与えました。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、ロマン派音楽の全てが凝縮された、壮大なスケールと圧倒的なドラマです。冒頭の重々しい主題から、抒情的で美しい主題、そして華やかで技巧的なパッセージが、単一の楽章の中で目まぐるしく展開していきます。音楽は、絶え間なく変化し続け、聴く者を最後まで飽きさせません。
このソナタは、リストが持つ作曲家としての比類なき才能と、ピアノという楽器の可能性を極限まで追求した彼の精神を証明する傑作です。
パガニーニによる大練習曲集 S.141 より 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
リストの超絶技巧練習曲集第3曲「ラ・カンパネラ」は、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の主題に基づいて書かれた作品です。この曲は、ピアノの右手が鐘の音を模した高音域の音を繰り返し、左手がそれを支えるという独特な形式を持っています。ピアニストにとって非常に難易度の高い曲であり、リストの技巧がいかに並外れたものであったかを示しています。
おすすめポイント
この曲の魅力は、ピアノという楽器が持つ、煌びやかで華やかな響きを最大限に引き出している点です。ピアノの鍵盤を縦横無尽に駆け巡るような華麗な技巧は、聴く者を圧倒します。特に、冒頭から聴こえてくる鐘の音を模した旋律は、まるで幻想的な世界へと誘ってくれるかのようです。
この曲は、リストが持つピアニストとしての才能と、ロマンティックな感性が見事に融合した、華やかで美しい傑作です。
ハンガリー狂詩曲 第2番 S.244-2
リストが作曲した全19曲のハンガリー狂詩曲の中でも、最も有名で、民族的な雰囲気に満ちた作品です。この曲は、ジプシー音楽からインスピレーションを得ており、ハンガリーの民族楽器であるツィンバロムの音色や、ジプシー音楽特有のリズムが、ピアノによって見事に表現されています。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、ハンガリーの民族的な情熱と、リストの華麗な技巧が融合している点です。緩やかで憂鬱な導入部から始まり、次第に激しく、情熱的なダンスへと発展していく構成は、聴く者の心を強く惹きつけます。特に、終盤の活気に満ちた部分では、ピアノがまるでオーケストラのように響き、聴く者を熱狂の渦へと巻き込んでいきます。
この曲を聴くと、リストが故郷ハンガリーを深く愛し、その音楽を世界へと広めようとしていたことがわかるでしょう。
愛の夢 第3番 変イ長調 S.541
リストの全3曲からなる「愛の夢」の中でも、最も有名で、美しい旋律に満ちた作品です。この曲は、もともと「愛の夢」という歌曲集の一部として作曲されましたが、後にピアノ独奏用に編曲され、広く知られるようになりました。ロマンティックな雰囲気を持つこの曲は、多くの人々に愛され、様々な映画やテレビドラマでも使用されています。
おすすめポイント
この曲の魅力は、ピアノが歌い上げる、甘く、切ない愛の歌です。シンプルでありながらも、心に深く染み渡る美しい旋律は、聴く者の心を優しく包み込んでくれます。また、中盤で現れる情熱的な高まりは、愛の喜びを表現しているかのようです。
この曲は、リストが持つロマンティックな感性と、ピアノの音色を最大限に引き出す能力が存分に発揮されており、疲れた心を癒し、静かな感動を与えてくれるでしょう。
交響詩「前奏曲」 S.97
リストが確立した新しい音楽形式「交響詩」を代表する傑作です。この曲は、詩人ラマルティーヌの詩「詩的な瞑想」からインスピレーションを得ており、人生における様々な感情(愛、希望、絶望、そして勝利)を音楽で表現しようと試みました。単一楽章で構成され、一つの主題が様々な形に変化していく「主題変容」の技法が用いられています。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、文学的な物語を、音楽によって壮大に描き出している点です。オーケストラが奏でる重厚な響きと、情感豊かな旋律は、聴く者を壮大なドラマへと引き込んでいきます。特に、終盤の力強く、華やかなフィナーレは、人生の勝利を祝福するかのようです。
この曲を聴くと、リストが持つ作曲家としての才能と、彼が目指した、音楽と他の芸術との融合を強く感じることができます。
ここから、好み入りまくりのおすすめ曲をご紹介します。
12の超絶技巧練習曲 S.139 より 第4番 ニ短調「マゼッパ」
リストが作曲した「12の超絶技巧練習曲」は、ピアニストにとっての究極の試練であり、この作品集は彼の超絶技巧の集大成ともいえるものです。このうち第4番は、フランスの作家ヴィクトル・ユーゴーの詩「マゼッパ」からインスピレーションを得て書かれました。
この詩は、馬に縛りつけられたウクライナのコサックの英雄マゼッパが、荒野を駆け抜けるという物語を描いています。リストは、この劇的な物語を音楽で表現し、強烈な情熱とエネルギーに満ちた作品に仕上げました。
おすすめポイント
この曲の最大の魅力は、馬の疾走を思わせる、圧倒的な迫力と躍動感です。ピアノの鍵盤を縦横無尽に駆け巡るような、難易度の高い連続オクターブや、ダイナミックな和音の連打は、聴く者を一瞬で劇的な物語へと引き込んでいきます。音楽は、マゼッパの苦闘と、それに打ち勝つ不屈の精神を表現しているかのようです。
特に、終盤の力強く、華やかなフィナーレは、マゼッパが英雄として勝利する様子を見事に描き出しています。この練習曲は、単なる技術的な課題を超え、リストが持つ文学的な物語を壮大な音楽へと昇華させる才能を強く感じることができるでしょう。
まとめ
リストの音楽は、世代を超えて多くの人々に愛されています。一度は聴いたことがあるメロディーも出てくると思いますが、ぜひ最初から最後まで通して聴いてみてください。
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